Blur : S/T
ARTIST / Blur
TITLE / S/T
LABEL / parlophone
DATE / 1997
TITLE / S/T
LABEL / parlophone
DATE / 1997
2100。以前紹介した盤"13"。5枚目にしてBlurが到達しようとした境地。これまでの中産階級なパワーポップからの脱皮。といえるのかどうかはわからないな。でもやっぱりM1の'Beatlebum'のイントロの予感と、終始ひきつける一連により確信を持てるに違いない。かっこよいバンドである。ブリットポップはこのリリースで曲がりおはじめる。Damon Albarnは本作をリリースする前に「ブリット・ポップは死んだ」と発言したという。予言なのか、あるいは自壊なのか、ブリットポップはもう一翼であるOasisによる渾身の駄作によって翌年瓦解した。本作は、個人的な90年代の称号も携えている。ティーンな僕たちは、本作を時代にまぎれたBGMとして消化したし、服装とした。それは遅れてきたアメリカの世界征服であり、Blurはもはやイギリスを背負うのをやめ、数年遅れでアメリカを身にまとっていたのである。世界音楽、あまりに帝国主義的な。音楽は1律化した。表面上は。Radioheadが同時期にその世界観すら簡単にぶっこわしてしまうわけだけど。セルフタイトルを冠しているにもかかわらず、自分たちのアイデンティティを捻じ曲げたBlur。俯瞰の俯瞰で見た場合、本作は、ひどいと非難されてもしかるべきかもしれない。それでも、自分たちの名前を与え、1枚の中で膨らまし、ジャケットの美しさに負けない傑作にまで仕立て上げたことにより、現在のBlurにまでつなげることができたわけだ。世間的には、Graham Coxonのギターが主張を始めたという。DeamonとGrahamの仲たがいは、今では涙なくしては見れないライブへと結実している。すべてのエピソードは、涙なくしては語られない。さて、僕たちは本作の影の影のごく一部にこびりついたものを大切にしている。限りなく本作にはThe Beatlesがパウダースノウ。