Radiohead : Hail To The Thief
ARTIST / Radiohead
TITLE / Hail To The Thief
LABEL / parlophone
DATE / 2003
TITLE / Hail To The Thief
LABEL / parlophone
DATE / 2003
1767。以前紹介した盤"I Might Be Wrong"。さて偉業を成し遂げたら、次の話が非常に困ってしまうというのはよくある話。何でもできるし、眠っていても良いものができる。しかし、革命家に許される革命は1度だけなのである。自己否定をすれば、かつての革命は、嘘っぱちになってしまうから。どんな偉大なバンドも、その意味では、あとは黙るか、去るしかない。Radioheadも例外ではない。本作のできが悪いわけではない。しかし、もはやリスナーは驚かない。期待値の高さなどという生易しいものではない。そういう意味で、Sonic Youthなどは、楽である。最初から最後まで、そのままでいることが求められているわけだから。どちらの道を選びとらされるかは、その才能の方向性によって決まる。前作までで、新世紀を完璧に宣言したRadioheadがリリースした本作は、誤解を恐れずにいえば、素晴らしくRadioheadな1枚である。曲も良い。それまでに起こった社会情勢、(いつものように)自身の状況への憤りなどがふんだんに盛り込まれ、とても感情的だ。何も知らない人たちが、本作からRadioheadを聴けば、何の疑いもない衝撃を与えられるだろう(もちろん性向は必要だが)。しかし僕たちは知っている。Radioheadがだたのロックバンドではなく、誰よりも早く次の話を語りだした最高のロックバンドであったということを。本作を最後に、僕はRadioheadの新譜を追いかけるのをやめた。それが、彼らへの礼儀である。彼らが不在となったとき、彼らの業績すべてが一体となって、われわれに与えられるだろう。そのとき、本作もまぎれもないクオリティを持った1枚として、絶対的輝きを持つのである。