The Sea And Cake : Oui
ARTIST / The Sea And Cake
TITLE / Oui
LABEL / thrill jockey
DATE / 2000
TITLE / Oui
LABEL / thrill jockey
DATE / 2000
1758。以前紹介した盤"The Fawn"。5th。問答無用で、僕たちをメロメロンへと陥れた1枚。M1のイントロを聴いたとき、安直に言えば衝撃が走った。あまりにも構築されすぎた軽快さ。より自然に電子的介入を実現する一方で、シカゴ特有のミュージシャンシップでもって管楽器やら弦楽器のプレイヤーたちを突っ込み、有機的に、外はこんがり、中はしっとりといった具合でもっての、これである。腐るほどプレイして脳に叩き込んだ。M1は絶妙にM2へと接合し、僕たちの耳を離そうとしない。なんて暴力的なんだろう。こんなにも遠くで鳴っているのに、こんなにも僕たちの注意を音へと集中させてしまう。何の免疫もない純粋無垢な高校生たちは、シカゴの力に、詩語の間にある力にやられた。僕は夢想する。もし、シカゴ界隈の動向が、インストのみで展開していたならば、というかTortoiseという装置のみで革新を果たそうとしていたならば、それほど世界に届かなかったのではないかと。そこに、叫びたい言葉があってよかった。その語られるところのものが理解できなくとも、そこに言葉があってくれて良かった。それにしても、僕たちは、21世紀を前に、音へと集中していった。逆説的に、理解できない言葉に安心しながら。