Gastr Del Sol : Crookt, Crackt, Or Fly
ARTIST / Gastr Del Sol
TITLE / Crookt, Crackt, Or Fly
LABEL / drag city
DATE / 1994
TITLE / Crookt, Crackt, Or Fly
LABEL / drag city
DATE / 1994
1723。以前紹介した盤"The Serpentine Similar"。偉大なる第一歩を踏み出した1stに続く2nd。Bundy K. Brownは全作を限りにTortoiseへ移行し、変わって若手ながらも実験音楽界では多方面で評価を受けていた猫背なオタクミュージシャンJim O'Rourkeが加入します。M6M8では前作同様、John McEntireが参加。録音はSlintなどを手がけたBrian Paulson。Gastr Del Solの個人的なイメージは、Grubbs、O'Rourkeともに、その後のソロキャリアの礎を築く複雑ながらも明瞭なアヴァンアメリカーナのイメージが強かったんですが、本作では極めてどろどろしたインプロの様相が強く出ている。当時のGrubbsの興味と、それに簡単に答えてくれるO'Rourkeの第一接触が、本作に結実したのだと想像できる。アコギの不安的な演奏がぶつかりあい、多種多様なノイズが混入されていく。終始穏やかに展開するかと思えば、M6では一気にすべてが電気的に解消されてしまう。10分を超えるM2M8の長尺で示そうとする、ロック・ミュージックの新しい方向性。あるいは、それは全体を通してはっきりと示されているのかもしれない。Gastr Del SolがGrubbsのものであることは疑う余地がないが、O'Rourkeという善良に見えて悪意の塊である異分子が本作から、その後の〈ポピュラーミュージック〉への足がかりを得たのかどうかという点こそ、僕の興味を大きく惹くところである。聴きこむというスタイルから遠ざかった僕にとって、本作はかなり〈難解〉な部類に入るけれども、中学生の頃から本作を与えられていれば、素敵な名盤として人生に刻まれたことだろう。