Eric Dolphy : Out To Lunch
ARTIST / Eric Dolphy
TITLE / Out To Lunch
LABEL / blue note
DATE / 1964
TITLE / Out To Lunch
LABEL / blue note
DATE / 1964
1794。よく知らないけど、とある人物(たち)によって引き合いに出されることで、現在でもアクチュアリティを確保しているEric Dolphy。ジャズしか聴かないという人よりも、現代音楽ないしそれに付随する何かで味付け程度に武装しているポピュラー音楽を愛する人々に好まれている印象があります。本作は彼が死ぬ数ヶ月前に全編オリジナル曲で作られた名作です。Dolphy(アルトサックス、フルート、クラリネット)、Richard Davis(ベース)、Anthony Williams(ドラム)、Freddie Hubbard(トランペット)、Bobby Hutcherson(ヴィブラフォン)という布陣。豪華布陣、と言い換えておくほうが適切。フリージャズという文脈のなかで、それがそもそもどういうものなのか明確でないとはいえ、Dolphyの卓抜な構成力を捉えるのは難しい。ガチャガチャ鳴らしているという瞬間瞬間が、きらめいている。緊張感よりも、全体的な弛緩のほうが強いように思う。甘い。滞りのない息遣いが滑らかで筋肉が溶けていく。抽象画などという言葉で形容されることが多いようだが、少なくとも本作でDolphyが出す音は明晰だし、構成もクリアであるように思われる。僕がそれほどジャズを聴いていないということに起因するのかもしれないけれど。音にはっきりとした意思があり、遊んでいない。John Coltraneの愛とOrnette Colemanの自由を両手いっぱいに抱えて(といってよいのかは知らないけれど)、とにもかくにも彼は36歳という短い生涯をしっかりと歴史化した。それが本作にすべて結実しているといってよいかどうかは知らないけれど(多くの人々が何かしらの難癖をつけるかもしれない)、とにかく聴いていないでどうするという本作である。