Led Zeppelin : untitled (IV)
ARTIST / Led Zeppelin
TITLE / untitled (IV)
LABEL / atlantic
DATE / 1971
TITLE / untitled (IV)
LABEL / atlantic
DATE / 1971
1795。以前紹介した盤"III"。それまで与えてきたナンバリングを剥ぎ取り(便宜上"IV"と呼ばれることもあるが)、新たなステージへの到達を高らかと宣言した4th。いわゆるただの名盤。メンバによって謎の四つのシンボルを付与されることにより、その名指しがたきものとしての存在を強めている。M1の「黒犬」から彼らのどや顔が浮かぶ。M2の「ロックンロール」で聴衆は金を払うことを決めるだろう。M3のトラディッショナルな展開で小休止して、A面の最後、通称「天国への階段」で、本作が、あらゆるもののなかでも何か適度に重要なもの、そうであるが故にポピュラー音楽史においては圧倒的に重要なものだと気付くのだと思う。だから多くの人々が本作を買った。3000万枚以上が売れたという。たくさんの人が、当時の最先端を求めた。あるいは僕のように、歴史に刻まれている何かしらの到達点を見上げようといまさらながらに本作を聴いている。しかし不思議なのは、少なくとも僕の世代周辺において、Led Zeppelinをベストフェイバリットに挙げる人にあったことがない。その理由がどこにあるのか。われわれが何かを好きだというとき、それは、自分自身のアイデンティティの主張でもある。それが声高であればあるほど、自分が特別であることを確保するために、何かしらの癖を混入しないでは入れない。そういう意味では、Led Zeppelinは、とてもまっすぐなスーパーバンドだった。とても響く曲を、とても上手に演奏する。抜かりがない。かわいくない。ずれてない。優等生過ぎる。そんな印象。彼らはあまりにも中心にいる。しかし残念ながら僕たちはそんなに完璧でいられない。自分を肯定するには、Led Zeppelinを側に置くわけにはいかないのだと思う。