Joni Mitchell : Blue
ARTIST /Joni Mitchell
TITLE /Blue
LABEL / reprise
DATE / 1971
TITLE /Blue
LABEL / reprise
DATE / 1971
1824。普通ならば通っていなければならない作家がいる。多少なりとも音楽を愛するものならば。いや、音楽に圧倒的な嫌気がさしていたとしても。Carole Kingと同じように。かってイメージで、というか主に本作の陰鬱なジャケのイメージで、Joni Mitchellはただのだみ声で歌う、粗雑でフェミニスティックな印象を持っていたけど、すぐにそのばかげた印象が視覚的なものに左右された間違いであると気付かされる。歌い手として、もっとも重要な声を、Joni Mitchellは持っていた。澄み切った方向で。多くの音楽家たちが手に入れることのできない天性の歌声を。4thである本作は、その秀逸すぎるタイトルで、時に損をし、しかし多くの場合、無条件で名盤の誉れを冠されるだろう。のちにPat Metheny、Wayne Shorter、Jaco Pastorius、 Herbie Hancock、Charles Mingusといった有名ジャズプレイヤーたちをもとりこにした彼女の魅力が練りこまれている、シンプルながら、どこまでもブルーな1枚である。青が似合う女は美しい、という意味において。ピアノとアコギ、時々スティールギターと、何より全ての楽器に勝る彼女の声とが、あまりに芳醇で鼓膜をとろとろしてくれる。ジャズなどのフレイバを経由した後期はシンセなどを導入したアプローチに向かうそうだが、フォーク旋風吹き荒れる時代に、ぴったりと適切に放たれた本作が傑作でない理由は皆無である。青は美しい。