McCoy Tyner : The Real McCoy
ARTIST / McCoy Tyner
TITLE / The Real McCoy
LABEL / blue note
DATE / 1967
TITLE / The Real McCoy
LABEL / blue note
DATE / 1967
2087。ジャズ名盤探訪。Ron Carter(ベース)、Elvin Jones(ドラム)、Joe Henderson(テナーサックス)、そして彼らをつむぐMcCoy Tyner(ピアノ)。M1のイントロから印象的につかみながら、後は絶妙に崩しまくりの、巻く利上げ。ジャズだ。これがジャズなんだと。本作が発表された年に死んだJohn Coltrane。その黄金期を抜群に支えたMccoy Tynerが、初めてリーダーとして前かがみで提示したこのリアルさったらない。そして、多くの人が賞賛を捧げるように、なんといってもリーダーを支えるプレイヤーの素晴らしさ。Johnsはリズムパートであることを忘れるほどラディカル。HendersonもTynerを挑発し続けている。Carterはかれら全てを支えるほどの骨太さを持つ。駆けずり回るTynerのピアノ。庭は広い。広範である。そこで競演する。ステージの広さ。競演するにしては、その広大な庭でさえ、でかすぎる身振りたちである。演奏に充実があるという盤は、少し聴くだけでも分かる。本作には、そのたぎりにたぎった絶妙がある。ジャズはその後、巨人によって電化され、またフリーとなる。どんどん混迷を極め、アカデミックに、そして不純物にまみれていく。ジャズのもっとも進化した形、ザ・ジャズ。その一形態が本作といっても良いだろう。とほとんどジャズを聴いたことがない僕なんかが思わされてしまう。俺たちがやりたかったのは、そんな方法論とか、革新とかではないんだと。疾走するジャズ。どこまでも筋肉質で、スポーティなジャズなんだと。観客もそれを求めている。俺たちもそれを求めている。走れ。そして体中の組織をひくつかせろ。追いつけるものなら、追いついてみろ。