Wayne Shorter : Speak No Evil
ARTIST / Wayne Shorter
TITLE / Speak No Evil
LABEL / blue note
DATE / 1964
TITLE / Speak No Evil
LABEL / blue note
DATE / 1964
2085。ジャズ名盤探訪。時期といいレーベルといい、ジャケといい、3拍子そろっているザ・ジャズ。Ron Carter(ベース)、Elvin Jones(ドラム)、 Herbie Hancock(ピアノ)、Freddie Hubbard(トランペット)、そして彼らを率いるWayne Shorter(テナーサックス)。wikiによると彼の6枚目だという。安易な旋律に瓦解せずに、なんだか黒い、そして魔術的な雰囲気が立ち込める。全体的に、きわめて、抑えられている。ぎりぎり水面から頭がでないように、そのぎりぎり感が、魔術的で、ひりひりするほどのぎりぎりなので、聴くものをこわばらせる。軽く流せない。それぞれのパートが、街中をまったく違う方向へと行きかう人のように動きまわりながら、しかし、優秀な画家や写真家が、そのフレームを見事に構成した場合の均衡というものが実現している。そのフレーム内での均衡、予定調和に転落しない均衡である。素晴らしいのではないか。みんなが分かっていることなんだ。クリスマスイブに集まり、しかし祝祭的な高揚感よりも、ぎりぎりでじらされることによるある種禁欲的な高揚感っていうのは、性的な倒錯とさえいえるような気がする。さて、本作は「新主流派new main stream」の代表的な1枚とされる。もちろん批評家用語であり、その用い方や、妥当性について、方々からの批判もあるし、決して明確に定義つけられるものではないと個人的には思う。Mailes Davisの"Kind Of Blue"から始まったとかいうモード・ジャズの延長か、そのさらなる革新なのか。とにかく旋律主義的ではないということはいえるような気もしないではないが、詳しい方は教えてくれると幸いです。とはいえ、批評家が、言葉を作らざるを得ないほど、新しい雰囲気が現れ、そしてそれが塊として広がりを見せていたということはあったのだろうと。その代表作が本作であるなら、そりゃ良いものなのだろうと。