Coil : Auto Reverse
ARTIST / Coil
TITLE / Auto Reverse
LABEL / テイチク
DATE / 2001
TITLE / Auto Reverse
LABEL / テイチク
DATE / 2001
2171。以前紹介した盤"Love"。充実の3rd。1stと2ndで宅録の詩情を拡大した2人組が、もはや抑えきれない創作意欲をぶち込んでいる。正直いって、やはり1st、2ndほどではないけれども、やはりその前のめりなテンションってのは、評価されるべきってレベルでなく、いとおしくて、ほほえましくて、素敵やん、である。といいつつ、ボリュームが増えたやつってのは、どうしても散漫になるし、聴き続けるにしても、2枚組だと、いちいち交換しなきゃだし、もーそれはそれはめんどくさいのであった。だからそんなに聴いてない。疾走感を大切にした曲はCoilらしいし、その後どうしちゃったのと思うような気取った詩もまだ顕在化していない、と思う。まだまだコミックバンドの美学を携えている。文学少年としての岡本さんの詩情ってのは、ちょっと青いけど、学生時代に触れるぶんには自分が知っている知識との答えあわせみたいな感じで、えへへできるってのがよくて。The Beach BoysからThe BeatlesからT-Rexからバロウズからコルビジュエからなにから何まで突っ込んで、それでいて、愛すべきCoilらしきテクスチャは忘れない。えへへ。好きだよ。1枚目は陽気、2枚目は陰鬱。そんなわけかたがよいのかしらないけど、ここまで作風を綺麗に2分割し、それぞれできちんと成立させるってのは、本当に頭が下がります。ちなみに、僕は、通しで聴いてはないのだけれど、2枚目は結構聴いたってことを、聴きなおしながら思い出したりしている。M1から日常系の陰鬱バラードで、それはそれはもうCoil成分たっぷりやないかい。そして、そのときの岡本さんの詩情は、それはそれはもう涙を重力してもよいでしょうかって感じです。M3の'Smile Again'とかサビはいまいちだけど、すごくらしいです。M6の「ねてようび」も素晴らしい日常だらだらソング。そしてM9の「夏の日79'」のサビ。現在のコイルといえば、ディスク1のような陽気なスタイルを引き伸ばしているわけだが、本作の2枚目は、まるでそこからグッバイする決意表明かのように、それまでの括弧つきのかっこつけな2人の葬送を演出しているかのようである。ラストはインスト「ル・コルビジュエ」。こちらもまるで、続く方向性を予告するかのように。個人的に、思い出のなかのCoilは本作を最後に、どこかへ行ってしまった。