µ-Ziq : Bilious Paths
ARTIST / µ-Ziq
TITLE / Bilious Paths
LABEL / planet mu
DATE / 2003
TITLE / Bilious Paths
LABEL / planet mu
DATE / 2003
2154。過去盤レビュー。とりあえず、Paradinasさんを追っかけたのはここまで。21世紀になって、レーベルも順調に展開しているからか、リリース頻度も落ちました。2013年には、新譜もリリースされますが、めっきり寡作の、小遣い稼ぎミュージシャンになってしまった印象です。別に悪意をこめてるわけではないけど。前作"Royal Astronomy "で見せたストリングス導入実験は、本作で生かされることはなく、ただの稚気であったということが明らかになるとともに、レーベル周辺の作家たちの傾向と一致しつつ、同時代のEDMを自分だって軽やかに実践できるんだということを証明するだけの1枚となっています。そういう意味では、別にParadinasさんでなくてもよいかなぁという感じでしょうか。膨大なフォロワーをレーベルの中にぶら下げ、もはや王国の頂きに、ましましている国王のようになってしまいましたか。もちろん、あなたが一番前を走っていなければならないし、子どものやることも、孫のやることだって、簡単に説明できてしまわないといけない立場なのでしょう。でも、革命を起こすような身振りはなく、ただたんたんと、適度に良質で、こんがらがった音楽を作っているようですね。お元気ですか。高速ブレイクビーツは飛び散りまわっているのに、なんだろう、この消化不良感は。ポップスの不在、というと、とても明瞭でわかりやすいのでしょうか。旋律への依存が弱まっている。確かにビートで遊んで欲しいとは多くの人たちが思ったでしょうけど。もちろん数曲最先端のなかでも、やっぱり王様の風格が漂う曲がある。でもそれもいつ追い抜かされるかわからないような位置づけなんです。繰り返しになるが、ブレイクスルーがない。一度それを達成したものへの、愚民による期待感たるや、どうしよもなく汚れた精神性によってはいるけれども、それでもなお、Paradinasさんなら何かをやってくれるはずだと。そういう思いが強く強く、死ぬまで消えずに漂い続けているのです。良い盤だよ。