As One : Reflectinons
ARTIST / As One
TITLE / Reflectinons
LABEL / new electronica
DATE / 1994
TITLE / Reflectinons
LABEL / new electronica
DATE / 1994
2187。以前紹介した盤"Out Of The Darkness"。導入から胸をきゅんきゅんさせる電子のざわめき。それを安定させるハウス性の屋外感覚。平坦な戦場のなかでも一瞬でもそんざいするかもしれないわれわれの日常茶飯事な快楽的誤謬であるといえる。踊れ。あるいは眠れと。90年代clear世代の活躍って行ってももはや、どこ吹く風なほどに音楽は拡大し、シラネーヨバカなのであるからこそ、とりあえずまだ聞いていないところを掬い取ってはなんか良いなぁと感慨と呼ばれるようなシッテルヨボケな状態へとこぼれていく。Kirk DegiorgioことAs Oneによる1stはwarpがA.Iを提唱して間もないころにその名もずばりなイギリスのレーベルnew electoronicaからリリースされた。「エレクトロニカ」というもはや使われていないのではないかと思われる名前を冠したレーベルが「ニュー」などいう概念でもって進みだそうとしていたのはなんとも面白おかしい。いとおかし。As Oneほか、Scannerなどの盤やコンピをリリースして早々に退却したけれども、何かの流れの中にその名前は、多少違う形であったかもしれないが、ほのかに刻まれたのであった。それはさておき。この頃は本当に、イギリスにおいて、何か冷ややかな機械性と、デトロイトから情熱的ないし叙情的であたたかなフィーリングをミックスしたテクノ・ミュージックの充実を感じざるをえない。Derrick Mayのおうちで留守番していたKirlがこっそりと機材を使って作ったとかいう話があるとかないとかそんなこぼれ話も、その2つの形式の矛盾めいた秘密めいた統合を表しているような気分になるのであった。またそれは2007年に、日本においてelectric soul classicなるシリーズでもって、Ian O'BrienやTwo Lone Swordsmenの諸作とともにリイシューされたということも合わせて、脳裏の片隅の奥の奥へとつっこんで置こう。それは僕のもっとも愛する音楽形式、ないし雰囲気のひとつがたどったあまりにも繊細な末路である。美しいという言葉を当てはめてもなにも、美学的な葛藤をスルーして余りある、音楽のひとつ。テクノ。心穏やかに。