Aphex Twin : Selected Ambient Works 85-92
ARTIST / Aphex Twin
TITLE / Selected Ambient Works 85-92
LABEL / apollo(r & s)
DATE / 1992
TITLE / Selected Ambient Works 85-92
LABEL / apollo(r & s)
DATE / 1992
2249。誰しもこすれるほど聴いて、チンコやそれに類する何かを失ったこと受けあいの傑作。M1の'Xtal'から、どれだけRichardさんが稚気によるバイオレンスを振るったとしても、その透明な音楽の全てによって、自己演出が崩壊してしまうというかっこよさの極みを体現している。彼が13歳とか14歳とかそこらへんで作った音楽が、いまだに電子音楽の世界において、反復され、評価されているということについて、30歳をとうに超えてしまった僕は背筋を但し、腰を痛め、坐骨神経痛によって日常生活をおちおちと送れない事態にまでなっているという。RichardさんがBrian Enoが提唱したAmbientという概念を、どこまで大切に懐に抱えていたかは分からない。Enoから切り離されたポップスのジャンルにおける環境音楽に寄り添っているだけに過ぎないかもしれない。いずれにせよまだ若かった僕たちは、そこからBrian Enoへと遡及し、音楽の幅を広げていく。少なからず僕はそうだ。2014年の9月、13年ぶりの新譜として、一部マーケットにおける大騒ぎは、当然だといえば当然だし、さらっとリリースされたあとには、それが本作のように長く聞かれることもないだろうということもなんとなく想像される。それは当面のRichardさんの生活費を与えるには十分の額を稼ぎ出すとファンとして信じているし、それが尽きた10余年後にまた新譜が出ればよいなと思っている。そんなに悠長に構えていられるのも、Aphex Twinとしてリリースされている諸作が、現在でもなんら透明なままで音楽をしているからだと思う。少なくとも僕にとって。本作の無垢すぎる旋律が違和感なくなっている生活に感謝する。We Are The Music Maker。何の悪意もなく、本来の意味におけるアーティストとして、Aphex Twinは音楽を作っている。僕たちの生活にあまりにもふさわしい音楽を作っている。愛すべき音楽を。名盤。