簗田裕之 / 光永巌 : 女神転生外伝ラストバイブルII サウンドトラック
ARTIST / 簗田裕之 / 光永巌
TITLE / 女神転生外伝ラストバイブルII サウンドトラック
LABEL / supersweep
DATE / 2010
TITLE / 女神転生外伝ラストバイブルII サウンドトラック
LABEL / supersweep
DATE / 2010
2310。しばらくニコニコ動画に上がっていましたが、音源化に当たってか、視聴できなくなっていました。以前書いた参考記事はこちら。ゲーム自体の発売は1993年11月19日。もちろんながら、初CD化です。我が家は、ゲームボーイしか許されなかった家庭だったゆえに、当時の斬新過ぎる3和音電子音楽の名曲群が脳内に注ぎ込まれることで、今の趣味趣向が出来上がったと信じています。ゲームデザインはアトラス。メガテンシリーズとして、現在でもまずまずコアなファンを得ている女神転生の、その名のとおり外伝的な位置づけです。メガテンはそもそもWiz式の3Dマップですが、ラストバイブルシリーズは、ドラクエ方式の2D見下ろしマップでした。そのほか仲魔システムなどは踏襲し、またその重くて陰鬱な世界感が、しっかりと子どもたちを教育してくれます。世界には夢も希望もない、と。それはさておき、本作のサウンドデザインをしたのは、シリーズ全てを手がけた簗田裕之と、このIIのみにクレジットされている光永巌。光永さんはぐぐるとあがた森魚関係で、名前が出てくるけど、同姓同名かは不明。それどころか、簗田裕之さん自体も、ラストバイブル・シリーズ以外で、クレジットがしっかりと掘り出されるのはGBの数作に過ぎない。なんとも悲しい話ではないか。ここまで厚みのあるサウンドメイキングと叙情的なメロディセンス、そして構成。戦闘や乗り物や街など、それぞれのイベントシーンはプレイヤーの滞在時間によって基本的にはループになるわけだけど、それぞれに短くでもイントロを付与したり、展開を持たせるなど、本当に細かい心配りがある。GBだぜこれ。特に白眉は、M21の「ガイア」だろう。この構成と、ギターソロを再現した旋律性。プログレである。そしてここから流れていく「エンディング」。涙なくしては聴くことが出来ない。本シリーズに関わったあと、この不出世の作曲がどのような展開をしたのかはほぼ明らかになっていない。ゲーム音楽に関わり続けていれば、同時代から今に至るまで残っている幾人かのJゲーム音楽家と肩を並べることができたと思う。ゲーム音楽という特殊な世界において、再評価などはなんら意味もないだろうけど、その枠組みを超えたところで眺めれば、本作の素晴らしさは十全に記憶されるべきだろう。ちなみに、同様の感想から本作は音源化されている。supersweepというレーベルによる試みは本作を含む『ゲーム・ミュージック ディスカバリー』というシリーズで結実した。同レーベルはおそらく現在にいたるまで、求められるゲーム音楽を音源化し続けている。その成果はいつかきっと世界的に身を結ぶ日がくるだろう。ちなみに残念ながらラストバイブルIのサントラは品切れ。早めに買わないとこういうことになる。リイシューがあるのかは謎だが、この種の盤の性質上、あまり望みは高くない。デジタルでは手に入るだろうけど。にしても、メーカーの試みは評価するけど、もうちょっと作曲家別クレジットや、関連情報などつけといて欲しいところです。