John Beltran : Ten Days Of Blue
ARTIST / John Beltran
TITLE / Ten Days Of Blue
LABEL / peacefrog
DATE / 1996
TITLE / Ten Days Of Blue
LABEL / peacefrog
DATE / 1996
2368。以前紹介した盤"Moving Through Here"。現在まで消え入りそうになりながらも、燃え続けるJohn Beltranの名前をシーンに決定的に刻んだ誉れ高き名盤2nd。1枚でもこの手の仕事をやっていければ、根強くファンが待ち続けているというのを明かしていると思う。廃盤なのか中古屋でもプレミアつけて売られているので、再販が望まれるところ。だが、you tubeですべて聴くことができる現在の恵まれた状況も見ておかなければならない。あとitunesでも買うことができる模様。オールドメディアが背負う郷愁として、そのジャケとタイトルも美しい仕上がり。デトロイトから生まれたテクノは、フロアからベッドルームにも入り込み、90年代頭のwarpが提示した人工知能の世界へと続いていた。それがさらに少し遅れてフォロワーを産んだわけだけれど、20年以上たってみればそれもただの誤差の範囲となる。音のクオリティと、世界観へのリスペクト、掛け値なしのメロディセンス、複層化した音場の演出は、フォロワーの中でも群を抜いていたから本作は現在聞いても何ら後景していない。それゆえにクラシックと呼ばれるようになるわけだ。神がかりのように完成したその雰囲気は、名盤がもつたたずまいのそれであって、ポップスその他の産業音楽が衰退した現在から考えても、本作がこの先しばらくは古びることもなく、なり続けることは自明のように思われる。ジャンルにおける他の多くの盤のように、爆発的な派手さはない。しかし圧倒的にしみるチョイスに天才的なフォロワーとしての気概が光っている。傑作だ。そしてJohn Beltranがしたり顔でちんたらしている間にAphex Twinは同年、"Richard D. James Album"を提出する。そういうものだ。