Bitch Magnet : Ben Hur
ARTIST / Bitch Magnet
TITLE / Ben Hur
LABEL / communion label
DATE / 1990
TITLE / Ben Hur
LABEL / communion label
DATE / 1990
2376。以前紹介した盤"S/T"。アメリカインディ界の伝説のポストハードコアバンド、というには知名度がその他のもろもろとは違いすぎるBitch Magnetのラスト。フル盤としては2ndにあたるのか。Sooyoung Park(ベース、ボーカル)、Orestes Delatorre(ドラム)、Jon Fine(ギター)によるジャンクな音を鳴らすかっこよい3ピースバンド。交流関係に肝があって、本作のM2ではSlintのBritt Walfordこと Shannon Doughtonがギターを弾いている。録音したのは Arden Geist名義を使うAlbini先生(M1M3M5M6M7)のほか、Squirrel BaitやBastroを手掛けたHowie Gano(M2)、Codeineの座付きでありPoster Childrenなども録った Mike McMackin(M4M8、マスタリングも担当)が絡んでくる。界隈の強さ。まさにその一言に尽きる。その交友関係は、感謝欄にも表れる。CodeineのJohn Engle 、あるいはJohn McEntire、あるいは一時はメンバーとしてもかかわったらしいDavid Grubbs。。あとは音を聴けば大体わかる。あるいは構成。まったく歌おうとしないくせに、歌うと騒ぎ出す。ギターとドラムはしっかりとかたく刻まれている。ざらざらとしたロウな印象よりもグランジのような軽薄さが若干漂わないではない化学的なウェッティがあるけれど、それでも乾いたほうだろう。本作の曲はすべて先にあげたTRRによる2011年のリイシューによって救済されている。それゆえ入手もさほど難しくはないと思う。再評価というような類のバンドではないけれども、このころの良質でエッジの効いたアティチュードと、ポストハードコアが全く持ってシンプルに逃げ込まないその様子をとらえることができる。この荒々しい若気の至りからポストロなる路線が生まれるという話、本当に好きなくだりのひとつです。日本ではしばらくの間言及されることもなく、再発と誰得な再来日を待つことになった、そんな無名なバンドの渾身ラストアルバム。きかずとも(というのもめちゃくちゃに革新的というわけでもない)、その存在は感じろ。そしてAlbini先生のこのころの仕事ぶりっていえば、ねえ、奥さん。