The Red Krayola With Art & Language : Five American Portraits
ARTIST / The Red Krayola With Art & Language
TITLE / Five American Portraits
LABEL / drag city
DATE / 2010
TITLE / Five American Portraits
LABEL / drag city
DATE / 2010
2386。以前紹介した盤"Introduction"。混とんとしたギターのイントロから始まるからには期待を膨らませてくれるが、結局はいつものMayo節へと落ち着くような。Art & LanguageはMichael BaldwinとTerry Atkinsonという2人によって結成された60年代末から活動するコンセプチュアル方面のアート集団だということ。いろんな形式で活動しているようだが、その一つとして当初からThe Red Krayolaと活動を共にしていて、2016年の最新作"Baby And Child Care "も共作となっている。本作はタイトルにあるようにアメリカの5つのキャラクターの肖像化を目論み、それぞれわりと長めの楽曲として作られている。肖像化、とはすなわちその対象を一対一で名指すような形。つまりその顔そのものの特徴を歌い、そのキャラクターを指し示すということ。1曲目はWile E. Coyote。ワーナー社が作り出したずるがしこい悪役のコヨーテだが、ロードランナーを捕まえようと東奔西走する様が人々の共感を呼ぶ。2曲目はGeorge W. Bush。共和党出身の第43代アメリカ大統領で、イラク戦争とアフガニスタン侵攻を実現した悪党。3曲目はJimmy Carter。民主党出身の第39代アメリカ大統領で、大統領退任後に国際紛争の解決に駆け回りノーベル賞を受賞した。4曲目はJohn Wayne。ジョン・フォード作品の看板俳優として多くの戦争映画に出演し人々に疑似的なアメリカの英雄像を植え付けた。5曲目はAd Reinhardt。抽象表現主義的な作風で、ニューヨークの現代アートをけん引し、絵画を終焉させるのに一役買った。Reinhardtだけ、どうも好みが入っているようなチョイス。顔が特徴的なのだろうか。それぞれの曲には元ネタがいくつか用意されていて、1曲目はEllas McDanielの'Roadrunnner'、2曲目は子ブッシュが育ち州知事にもなったテキサス州の州歌やテキサス大学の校歌。3曲目はカーターが知事を務めたジョージア州の州歌など、4曲目はウェインの代表作の1つ映画『捜索者』のテーマなど。5曲目には、モーツアルトの「ピアノソナタ第6番」(ラインハルトが好きだったのかな)やその作風に由来してかRolling Stonesの'Paint In Black'。もう全体的に、ネタを繰りすぎているというか、自己満足の悪ふざけというコンセプチュアルに悪い部分が出ているけれど、老人たちの頭の体操には大切なことなのだと思う。Mayoのカリスマ性にひかれた本作の演者は次の通り。 The RaincoatsのGina Birch(ボーカル、ベース)、Alex Dower(ドラム)、Jim O'Rourke(ベース)、フランスの前衛レーベルのオーナーの1人QことQuentin Rollet(サックス、トランペットなど)、Tom Rogerson(ピアノ)、80年代のsst系ポストパンクバンドSlovenlyのメンバーだったTom Watsonといった面々、、。もういいかな。聴いても聴かなくても体制には影響はないけど、面白メンバーの悪ふざけは存分に楽しむことができるでしょう。