Bob Dylan : Highway 61 Revisited
ARTIST / Bob Dylan
TITLE / Highway 61 Revisited
LABEL / columbia
DATE / 1965
TITLE / Highway 61 Revisited
LABEL / columbia
DATE / 1965
2398。以前紹介した盤"Blonde On Blonde"。今更何をいってるんだという話であるけれど、恥ずかしながら、あるいは堂々と、ぼくがBob Dylanの盤を買ったのはこれが2枚目である。Lサイドの中の人が学生時代に、ノーベル文学賞にBob Dylanが推されている的な話を言っていたのが思い出される。そしてとるとるといわれている春樹はほったらかしで、2016年にBob Dylanは一番かっこいい形で、そのくだらないがたんまりと金がもらえる賞に輝いた。文脈をずらしたうえでいえば、素晴らしいことでも何でもないけど。かっこいい彼は授賞式をPatti Smithに代役を任せ結成した。ノーベル賞というアカデミックな現場の到達地点で、パンクの女王へのご指名。これほどのやり口はない。どんな大喜利だって、これ以上の美しい回答はでてこないだろう。そしてBob Dylanはおそらく自宅で、かっこよくハーモニカを吹くわけだ。本作は、そんな彼の代名詞ともいえる1枚。邦題は『追憶のハイウェイ61』。5thくらい。あまりにも有名な'Like a Rolling Stone'をリードナンバーに、プレスリーが生まれ育ち、ロバート・ジョンソンが悪魔に魂を売り渡した61号線に沿って、ロック&ロール&ブルースが強く響いている。ああ、最高さ。最高この上ない気分だ。最後を飾る11分オーバーの大曲'Desolation Row'に至るまで、多くの子どもや若者をとりこにし、彼らが育った時に、生きる伝説となったBob Dylan。そのイメージを崩すことなくしっかりと態度で答えるBob Dylan。最高じゃないか。余談だが、M1をプロデュースしたのはTom Wilson。本作ののちに、The Velvet UndergroundやFrank Zappaの諸作を手掛けることになる(それ以外はBob Johnstonプロデ)。近からず、遠からず、手元になくても世界中でなり続けていたBob Dylanの音楽は、これからはさらなる権威を帯びて、教科書を飾ることになるだろうけれど、そういうことじゃないということを伝え続けなければならないと思う。それでは皆さん、よいお年を。