Fridge : Early Output 1996-1998
ARTIST / Fridge
TITLE / Early Output 1996-1998
LABEL / temporary residence
DATE / 2009
TITLE / Early Output 1996-1998
LABEL / temporary residence
DATE / 2009
2391。Four Tet(参考)ことKieran Hebdenが所属するバンドとして著名なFridge。Lサイドがかつて愛聴していたバンドのひとつ。1994年結成。本作は彼らがイギリスのレーベルoutputよりリリースした初期EPをまとめた1枚となっている。メンバーは先に挙げたKieran Hebden、Adem Ilham、Sam Fejjersの3人。俗にポストロックという当時広がりつつあったゆるやかな商号的ムーブメントのなかで、きちんとそのラベリングを獲得し、うまくマーケットへと滑り込んだFridge。その後のFour Tetによる完成度の高いキラキラドリーミンセンチメンタルエレクトロニカの要素はほぼ発揮されることはあまりない。音響的に。ただ、当時のポストロック的なものとエレクトロニカ的なものの親和性のたかさとリスナーのかぶり方というのは異常なほどで、その2つをまたにかけてトライして両者を固く結んだ存在としては注目に値するかもしれない。反復的に端正にたたかれるドラムと、太めのベースは、鳴り物として前景化し、バンドのなかでギターその他と同列の価値を与えられたというのが、ポストロの美しき実践の一つだと思うけれども、Fridgeでもそのようなアプローチが要所で見られる。ダブダブしい長尺の曲も見られ、原点にして終着であるTortoiseの影響をしっかりとくみ取ることができる。96年から98年といえば、"Millions Now Living Will Never Die"(1996年)と"TNT"(1998)がリリースされた時代である。FrideがoutputからEP類をリリースし始めたのは1997年からであるが、本作のスリーブにはその録音年月が発売年月と同列に明記されており、その初期音源の録音時期が1996年と、おそらく強い主張をもって明記されている。彼らが主張するアメリカはシカゴの同時代性という価値はそれほどまでに高いものなのだと思う。ただのフォロワーとは違うということなのだろうか。もちろん初期音源の粗さというのはプロの仕事とは思えないほど荒々しい仕上がりだが、それがすっと洗練されていくところに、彼らのセンスの所以があるのだと思う。最初期音源である3分に満たない粗雑な小曲であるM1'EH4-800 Phase Shfter'から、15分を超える大曲であるM6'Angepoised'まで要するところたったの5か月。彼らが到達したストイックな境地は驚愕に値するだろう。そして、それでもなお、唯一無二のポストロックバンドであるTortoiseを輝かせることしかできないバンドであることもFridgeは証しているわけだ。おもしろい。