Fiona Apple : Tidal
ARTIST / Fiona Apple
TITLE / Tidal
LABEL / work
DATE / 1996
TITLE / Tidal
LABEL / work
DATE / 1996
2048。以前紹介した盤"The Idler Wheel Is..."。問題。われわれが愛すべき現代の女性作家は宇多田ヒカル以外誰がいるか。答え。Fiona Apple。そう。本作は、現代に生きる数少ない天才女性SSWによる1st。あまりにもか細くて、それなのに、野太い野獣のような声を出す。謎に満ちた構成と、詩情を持っている。語るように歌う。それをあまりにもたくましく支えるサウンドにわれわれは心をとらわれる。当時若干18歳のピアノ弾きが抱えている過去が、その詩情と混沌とした構成にどのように影響を与えたかはしらない。精神が不安定であるかもしれないし、その辺の男は全て死に絶えるべきだと、空想の中で、あるいは現実的に思っているかもしれない。男として、彼女の声が届くとき、ひっかかれているような錯覚を覚える。そんなもの覚えない。だるいように歌うFionaのりんごはばっちりと、肉を食うことをせずに、その動物的な、あるいはとても人間的な感情をこぶしにこめている。両義的なんだ。そうでもないかもしれないけど。青い瞳で見つめられたとき、僕は、全てを謝ろうとも思った。今も、できないでいるんだけれど。Fiona Appleさんに捧げる、感謝と愛は、どの類のものとも違って、本心からひくついている。毛虫のような血管が、彼女の魂を揺さぶってくれるならば。それが将来、蝶であれ、蛾であれ、彼女の心をとらえてくれるならば、と思う。彼女に捧げようと思う。生まれる価値がある数少ない人間であると伝えたいと思う。彼女が自分自身をどう思っているかどうかは関係ない。たくさんの音楽を、Fiona Appla自身を、僕たちのために残してくれないだろうか。ばかげている僕たちのために、歌ってくれないだろうか。いつまでもあなたの言葉と声を。Never Is A Promise。