As One : Planetary Folklore
ARTIST / As One
TITLE / Planetary Folklore
LABEL / mowax
DATE / 1997
TITLE / Planetary Folklore
LABEL / mowax
DATE / 1997
2209。以前紹介した盤"Reflectinons"。A.I.シリーズに近接し、clearっ子として名前を露出したかと思えば、さほどぱっとせずにこの名義でのリリースをほったらかしているKirk Degiorgioさん。今どんな気持ちなのかしらと。mo waxから初めてリリースされた本作は、 Ian O'BrienやCarl Craigといったデトってる方向を持った人たちの力をいささかほど借りて、それでももちろんほとんどを自らで描ききる平板な1枚となっている。clear的な美麗さよりも、生音をブレイクしていくその手腕は、決して卓抜な響きをもってはいない。趣味趣向の違いとはいえ、退屈といえば退屈である。地味だ。アシッド・ジャズ?それとも別の何かなのか。それでも彼が取り込んだ有機的な生音たちが繰り広げるクラブ・ミュージックのような展開は、90年代の技術によって危うさをはらむ。ジャズ、ファンク、ソウル、その他大勢のアフリカン・アメリカンな素養が生み出しているグルーブ感は、今となっては陳腐なものとして投げ出されてしまうかもしれない。それでも時代は、もう20年近くたってしまっているのだから。そうなのだ。1980年にリリースされた盤を、2000年に聴くという、直感的にはほんとうにばかげたタイムラグがまもなくこの盤にも与えられてしまうのである。そんなバカな。本作でKirlがやろうとしたことは、相似形すらないだろうが、いくつかの作家がより洗練された形で、すでにわれわれに提示してしまっていた。たとえば食をテーマにした盤がリリースされているように。マイナスな風体で本作に望んでいるけれど、本作が得た世間的な評価は決して低くはない。与えられる最大限の賛辞の数々は、僕が本作に出会う時期をただただ間違えているということを明かしているのだと思う。1997年における本作の高み。なるほど。まあ、とりあえず聴いてみるがいいさ。